●非公式大会「-WELCOME UNDER WORLD-」決勝大会結果発表
漆黒のオーラを放つ暗黒格闘家達が集結する闇の武闘大会…。
――――ようこそ、裏の世界へ
華やかな公式大会の裏で、非公式大会「-WELCOME UNDER WORLD-」が密かに開催された。
大会の目的はUNDER NIGHT IN-BIRTH、真の最強チームを決めること。
4月1日の夕刻3時。顕現と花粉が満ちた会場には、マスク姿の猛者達が集結していた。
本大会は2on2の勝ち抜き団体戦。
予選大会を勝ちあがった戦士達が全国各地から集い、この決勝大会で最強を決める。
なお、一般的な大会とは一部レギュレーションが異なるため、改めて確認しておきたい。
それは課金の存在だ。
非公式に行われる闇の大会では、ありとあらゆる課金が認められている。
体力や攻撃力を上昇させる課金装備や、状況をひっくり返すことすら可能な課金トラップカード。
さらには課金技と呼ばれる、強力な必殺技の数々。これらの使用が公認されているのだ。
また、本来はこのような下らない制限など課すべきではないが、庶民でも参加できるように課金の限度額が定められている。
限度額を越えてしまった場合はルール上失格となってしまう。
本大会はスタンダードレギュレーションで行われるため、限度額は666万円INPとなっている。
この限度額というルールが定められてから、課金試合は高い競技性を持つこととなった。
どの課金技から出していくかという自由度の高さに加え、課金するかしないかという読み合い、
すなわち、ブラフによる駆け引きから生まれるじりじりとした死闘こそが本大会の醍醐味とされる。
予選大会中も限度額ギリギリの攻防が繰り広げられ、熱いドラマが数多く生まれた。
●注目試合ピックアップ!
決勝大会で注目度の高かった試合をピックアップして紹介していく。
1PTeam「ファントム」先鋒
刻夜(ハイド)
vs
2PTeam「閃乱」大将
KP仮面(ユズリハ)
まず印象的だったのは、1回戦第1試合から激闘が繰り広げられた「ファントム」と「閃乱」の試合、先鋒・大将戦だ。
「ファントム」の先鋒「刻夜」選手(ハイド)は、思うがまま、あるがまま、限度知らずの課金プレイが強烈にインパクトなプレイヤー。
大本命と目されていた前大会において、あまりにも過激な課金をしたことで、
大会規定の限度額を超過してしまい、まさかのベスト4止まりとなってしまった。本大会で汚名返上となるか、注目されている。
対する「閃乱」の大将「KP仮面」選手(ユズリハ)も引けを取らないほどの超攻撃的なプレイヤーだ。
目が合った偽誕者同士は課金試合をするのが習わし、といわんばかりの先手必勝の命懸け課金スタイル。
あまりにも素早い課金コマンドの影響から、カードリーダーを何度も全破壊してしまい、出入り禁止となった店舗は数知れない。
「閃乱」は先鋒の「詠」選手が既に敗れてしまっているため、後がない状態。
まず「刻夜」選手が操るハイドが、セオリー通りに課金オービターによる牽制でダメージチャンスをうかがっていく。
立ち回りで強力な課金オービターも、限度額が定められている以上、連発することができない。
課金技はなるべく確定状況でのみ使っていかなければ、すぐにリミットを越え失格となってしまう。
動きがあったのはラウンド中盤。「刻夜」選手がジャンプアサルトから奇襲をかける。
ジャンプ攻撃からの連続技で課金技を組み込むことができれば、そのまま倒しきることができる体力差だ。
しかし「KP仮面」選手はその甘えた無課金ムーブを見逃さなかった。
対空課金インフィニットワースイグジストダブルアクセラレータの超高速先行入力により、
対戦相手だけでなく控えの大将も一気に倒して勝利した。
この大会はタッグバトル。パートナー敗北の影響を受けてしまう可能性も、当然あるのだ。
1PTeam「無課金勢」大将
友情P(セト)
vs
2PTeam「微(妙に生活に支障が出る程度の)課金勢」大将
もやしパーティー(オリエ)
続いてのピックアップ試合は「無課金勢」と「微(妙に生活に支障が出る程度の)課金勢」の試合の大将戦。
「無課金勢」の大将である「友情P」選手(セト)は、かつてプロゲーマーとして表舞台で名を馳せ、活躍していたほどの実力者だ。
他プレイヤーへの応援を毎日欠かさない彼は、無課金プレイヤーのオピニオンリーダーとして多くの信頼を得ており、
その無駄のない徹底した無課金プレイはあらゆる無課金プレイヤーを魅了してきた。
対するは「微(妙に生活に支障が出る程度の)課金勢」の大将「もやしパーティー」選手(オリエ)。
こちらは正統派課金ファイターとして、ここ数ヶ月で台頭してきた若手プレイヤーだ。
彼が注目されてきた要因の一つに、その個性的な課金スタイルが挙げられるだろう。
課金技の発動時には、ネットワークサーバーを経由しての引き落としが発生するため、
連続高速課金行為によって生まれる強大なトラフィックは、不正アクセスによる不正アタック以上の負荷となりうる。
そのため、ネットワークサーバーにとって過負荷と判断された連続高速課金行為にも、
カードリーダーの使用が一定時間不可能となるペナルティが与えられてしまい、課金タイムを大きくロスしてしまう。
そこで彼は、極限まで最適化されたペナルティの発生しない最速課金タイミングを正確に見極めるため、
メトロノームを片手に課金していく、通称メトロノーム課金スタイルを確立した。
その正確無比な動きを見た者達は、彼を課金機械と呼ぶ。
前半戦、「もやしパーティー」選手がリズム良く課金技を繰り出していき流れを作る。
とめどなく押し寄せる課金シーリングホプロンの前に、「友情P」選手のセトは防戦一方となる。
軽く10体は出現しているであろうタナトスにかわいがりを受けるセト。
これが現実。やはり無課金では厳しいのか、そう思われた矢先に「友情P」選手が動いた。
「双鈎のヴェンジェンス!」
一定間隔で繰り出される課金技の隙間を突き、「友情P」選手はあろうことかで課金ヴェンジェンスで割り込んだのだ。
ダウンを奪い、課金縫縛のセグメントを設置していくセト。
まさかあの無課金プレイヤーの「友情P」が課金を!?ざわつく場内。
一度ダウンを奪ってしまえば「友情P」選手のターンだ。
万能な課金技もカードリーダーの受付精度の悪さから発動までにラグが発生する。
プロゲーマーとして表舞台で長年戦い抜いてきた猛者のコマンド入力精度の前では、そのラグは致命的だ。
「もやしパーティー」選手に何もさせることなく、一方的に起き攻めをループしていくセト。
どんなに強力な武器を持っていても、繰り出すチャンスが無ければ意味がないのだ。
セトがそのままオリエを抑えこみ勝利し、ガッツポーズを見せる「友情P」選手。
どよめく会場を他所に席を立ち、チームメイトと共に勝利を喜び合う。が。
「ファイナルクローズ、ディバイド!」
「もやしパーティー」選手は奥の手を隠し持っていたのだ。トラップカード課金再試合である。
課金再試合が発動することで、この試合は無かったことにされ、即座に試合が再開される。
△負け確の状況から、まさかの課金再試合で流れを取り戻したもやしパーティー選手
会場の誰よりも先に奥の手の存在に気付いた「友情P」選手であったが、時すでに遅し。無慈悲な課金勝利が決まった。
類い稀な努力と才能に加え他者の追随を許さないやりこみでここまで勝ち上がってきた「無課金勢」だが、
やはり最後は重課金プレイの前に苦汁を飲まされる結果となった。
●見事優勝を決めたチームは…?!
決勝戦までコマを進めたのは「石油王」チームと「老害部」チーム。
やはり大本命の2チームが相見える形となった。
「石油王」チームは「カルノフ」選手(バティスタ)と「チェルノブ」選手(ハイド)で構成される、
課金限度額がまさかの青天井となったガセステーションマレーシア支店での予選を勝ち上がった実力者達だ。
国内では依然として課金における規制が厳しく、限度額も低く設定されがちとなっている。
そこで、全力を出し切れる国外予選に目を付け、遠方にて確実に出場権を獲得したというアクティブさを持つチームだ。
「カルノフ」選手も「チェルノブ」選手も、課金ランキングでは常に上位に位置する重課金兵。
とりわけ目立った課金テクニックこそないものの、あらゆる課金を限度ギリギリまで繰り出す力量に加え、
相手が誰であろうとも手を抜かず、薄い表情のまま課金するクレバーな立ち振る舞いからは器の大きさ感じさせる。
「石油王」チームはそんな2人がタッグを組んだトンデモチームであり、優勝候補筆頭だ。
対する「老害部」チームは、「シャイニーギフト」選手(ゴルドー)と「アイスエイジ」選手(ワレンシュタイン)の2人。
本作で彼らを知らない者はモグリ扱いされてしまうほど、古くから課金兵として有名だ。
昨今こそ課金最前線から一歩引いたとされているが、稼動初期に裏ゲーセンで無双し過ぎたため、
彼らが筐体に座るだけで、ギャラリーに歪みが発生しベガ立ち勢の隊列が乱れる、とまで言われていた。
課金を熟知した老獪な立ち回りから繰り出される、ダイナミックな課金ハイパーアーマーに注目だ。
1PTeam「石油王」先鋒
カルノフ(バティスタ)
vs
2PTeam「老害部」先鋒
アイスエイジ(ワレンシュタイン)
まずは先鋒戦の組み合わせが発表される。
お互いの先鋒、それぞれの間に視線を行き来させるギャラリー。これはマズい組み合わせだ。
「カルノフ」選手のバティスタに対するは「アイスエイジ」選手のワレンシュタイン。
重課金装備のバティスタともなれば、飛び道具は3Wayで発射され、連射することも容易だ。
さらにワレンはその巨体がネックとなるため、近寄ることすら困難を極めるのだ。
ダイアグラムでは自虐をこめ「限りなく詰みに近い五分」と称される組み合わせ。
いかに近距離状態をキープし、甘えた無課金ムーブにカウンター課金をしていくかがカギとなる。
試合が始まると、「カルノフ」選手のバティスタは冷静に課金後退していく。
遠距離からの弾幕で何もさせずに勝利するつもりだろう。ワレンも課金ダッシュで間合いを詰め、中距離をキープする。
課金移動での高速間合い取り合戦は、歴戦のプレイヤーでも目で追うことが難しいとされる。
逃げるバティスタを追うワレン。均衡しているようだが、ワレンは少しづつ被弾によるダメージを受けていた。
このまま長引けばワレンの負けは確実。そんな状況下で意外な行動に出たのは「カルノフ」選手だった。
空中課金ルーメンステラを3連続で打ち込みながら、接近戦を挑んできたのだ。
ワレンを空中から押さえ込み、一気に勝負を決めようする「カルノフ」選手。
逃げに徹するかと思われた矢先の攻撃的なステラ。ざわめくギャラリー。
中段と下段が入り混じる課金ステラを、やられ判定の大きなワレンで防ぎきることは当然難しい。
「アイスエイジ」選手の目つきが変わる。
見計らっていたと言わんばかりにすばやくクレカをかざし、課金ハイパーアーマーを繰り出す。
ステラを課金ハイパーアーマー状態で受け流した直後、課金ドレーエンドルヒボーレンで掴みにかかる。
バティスタを掴んだまま離さないワレンは、致命傷を与えるまで何度も叩きつけ続ける。
そのはずだった。
画面に映し出されていたのは「18000DAMAGE」のダメージ表示。
倒れていたのはバティスタではなく、「アイスエイジ」選手のワレンであった。
ハイパーアーマー状態ではコンボ補正がかからなかったのだろう。
9つのステラを正面から被弾したワレンの巨体は一瞬で蒸発し、「カルノフ」選手の勝利となった。
格闘ゲームにキャラ相性は付き物。先鋒・大将のオーダーを読みきった「石油王」チームの作戦勝ちと言ったところだろう。
1PTeam「石油王」先鋒
カルノフ(バティスタ)
vs
2PTeam「老害部」大将
シャイニーギフト(ゴルドー)
先鋒大将戦。
大将で出てきたのは「シャイニーギフト」選手のゴルドー。
彼の特長とも言える虹色に輝くカラーのゴルドーは一流課金兵士にのみ使用が認められたレアカラーだ。
軽く触れただけで相手を吹き飛ばすほどのオーラを放つため、課金ハイパーアーマーとの相性は最高に良いとされる。
ギャラリーの中には氏のゴルドーを初めて見たものも多くいたため、雨上がりに咲く花のような輝きに場内は一時騒然となった。
試合が始まると、大方の予想通りの展開を見せる。
バティスタの攻撃を全て課金ハイパーアーマーでやり過ごし、近距離戦を挑むすゴルドー。
減少した体力は課金体力回復で即回復していき、粘り強くチャンスを伺う得意のゴリ押し戦法だ。
課金技の応酬となり、色んな意味で体力勝負に持ち込んだ「シャイニーギフト」選手。
課金ルベルアンゲルスの間合いを見切って避けての課金グリムリーパーでの反撃など、
その力強い試合風景からは、札束で殴りあう姿をはっきりと見て取ることができた。
最終的には2試合続けての重課金プレイが響いた「カルノフ」選手が限度額に達してしまい、
「シャイニーギフト」選手のゴルドーが判定勝利する形となった。
1PTeam「石油王」大将
チェルノブ(ハイド)
vs
2PTeam「老害部」大将
シャイニーギフト(ゴルドー)
大将大将戦。ついに本大会も最終試合を迎える。
直前の試合をベガ立ちで眺めていた「チェルノブ」選手だったが、その表情からはどこかしら自信があるように見えた。
「シャイニーギフト」選手のゴルドーに対するは「チェルノブ」選手のハイド。
恐ろしいまでの課金合戦が始まるだろうと、誰もが感じ取っていた。
両者、キャラクターをゆっくりと選択していく。その時、事件は起きた。
「チェルノブ」選手は使ってきたのだ。課金キャラの中でも最強とされるの「金色のヒルダ」を。
この日のために用意していたのだろう。1回使うのに目が眩むほどの課金INPが必要とされている。
筆者も実際に使用しているのを見るのは初めてだったため、その神々しい姿に思わず声がでてしまった。
△「シャイニーギフト」選手に対するは、最強とされる金色のヒルダ!
「金色のヒルダ」は出す攻撃全てが全画面範囲であり、
即死にならない連携を探すことの方が難しいほどコンボパーツの種類が豊富だ。
「シャイニーギフト」選手も一瞬驚いた風であったが、すぐに落ち着きを取り戻し筐体前に戻った。
1PTeam「石油王」大将
チェルノブ(金色のヒルダ)
vs
2PTeam「老害部」大将
シャイニーギフト(ゴルドー)
「ファーストクローズ、ディバイド!」
多くのギャラリーが固唾を呑んで見守る中、ついに最終試合が始まった。
「金色のヒルダ」の課金イン・ザ・ダークネスを発動されてしまってはそのまま負けかねない。
そんな中、先手を奪ったのは意外にも「シャイニーギフト」選手のゴルドーだった。
まさかの開幕アルティメット課金勝利を繰り出していたのだ。
一気に2ラウンド取得できるアルティメット課金勝利は危険過ぎるため、
スタンダードレギュレーションでは使用が禁止されている。
しかし、本大会のレギュレーションにおいては1度に限り使用が認められていた。
あまりにも早すぎる大技に反応できなかった「チェルノブ」選手。
「金色のヒルダ」は既に課金イン・ザ・ダークネスのモーションに突入している。止めることはできない。
「究極課金勝利!」
達人同士の勝負は一瞬で決まる。
とっておきだった「金色のヒルダ」を使うも、1フレームしか操作できずに敗北した「チェルノブ」選手。
重課金試合を制してきた決勝最終試合での大技で満身創痍となった「シャイニーギフト」選手。
両者ともに筐体に項垂れたまま、本大会は「老害部」チームの優勝で幕を閉じた。
驚きの展開となった最終試合を撮影したものを極秘ルートで入手する事に成功したので、是非ご覧頂きたい。
優勝した「老害部」チームには吉原氏の書き下ろしサイン色紙1年分に加え、優勝賞金100万円INPが贈呈された。
さらに、課金しすぎてしまった800万円INPの支払いを言い渡さることとなった。
●非公式大会「-WELCOME UNDER WORLD-」総合プロデューサー 我妻毅彦さんインタビュー
壮絶かつ歴史的な終わりを迎えた本大会。総合プロデューサーである我妻毅彦氏に締めの言葉を伺ってみた。
現在も業界に蔓延る…、いや業界の一線で活躍するTSP(Top Sega Pacreator)我妻氏。
思えば初インタビューは2009年であった。あれから4年――。我妻氏の現在の心境などに迫る。
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去年の稼働前インタビューから1年振り。稼働開始から約半年が経ちました。調子はいかがですか? |
我妻 |
まず言いたいことがあるんだが、あのセガデザインのノートPCの値段はなんなんだ一体。 |
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えっと、すいません質問に答えて欲しいのですが…。 |
我妻 |
あぁすまないね。なんだったっけ。調子だっけ。 |
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ご自身の調子ではなく、ゲーム稼働の調子を答えて下さい。 |
我妻 |
そうだね。思っていたより課金額の低い大会でがっかりしたって言うのかな。 |
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みんなそんな進級ならしたくないと思います。 |
我妻 |
あぁ、あれね。前回の大会以降、課金に対して理解の無い連中がうるさくてね。 |
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早く終わらせたいですけど文字量も必要なので。 |
我妻 |
そうだね。「ALL.Net P-ras MultiでGGの最新版ができる」って見たから俺もやりに行ったんだけど、 |
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では今回も最後に今後の豊富などを。 |
我妻 |
そうだね。この1年はこのゲーム(UNI)のお陰で課金格闘に対する考え方が広く浸透したと思っているよ。 |
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ありがとうございました。 (2013/04/01 我妻氏私有惑星ファンタシースター(初代)内3Dダンジョン、ケーキ屋前にて) |